<負けるが勝ち>
ある人の日記で「負けるが勝ち」だと書いておられた。
そうですね・・・「負けるが勝ち」
勝たないと気が済まない相手に勝とうとしても無理な事!
大して重要でもない事なら「負けるが勝ち」です。
私のおばは「他人と戦ってはいけない。両方が傷つく」と言いました。
私が10歳くらいの頃、あるでき事に遭遇したからでした。
それは5月くらいだったか、6月くらいだったか定かではありません。
私は田んぼにいる父やおば、手伝いの人におやつを届けに行った時だったと思います。
畦(あぜ)道を歩いていた時、ただならぬ蛙の声が聞こえました。
私は声の所在を探しました。
大きな蛙が「グェ~、グェ~、」と悲壮な声を上げていました。
何事かと思うと少し離れた所に小さなヘビがいます。
鎌首を上げて、赤い舌をチョロチョロと出しています。
時々威嚇するように首を前に出します。
その瞬間、私は氷水をぶっ掛けられたようになりました。
足はすくんで動きません。
目は凝視状態。
声も出ません。
しばらく、蛙とヘビの睨み合い、威嚇が続きました。
ある、一瞬・・・・
ヘビが飛びました。
そのまま蛙の口の中へ・・・・
蛙はそのままヘビを飲み込んでしまいました。
蛙のお腹はどんどん膨らみ、不気味にうねっていました。
しばらくして蛙はノソノソと苦し気に動き出しました。
私はようやく呪縛から解かれたように肩で息をしました。
悪夢の時間でした。
そんなに時間は流れていなかったような、人生で一番長い時間だったような・・・。
私は言葉がありませんでした。
夜、私はおばに聞きました。
おばは「オゾマシイものを見てしまったなぁ」と言いました。
「あれが、この世と言うもんや」と溜息混じりに言いました。
「人間の社会もいっしょ。 喰うか喰われるかの世界がある。
だけど・・・人間は認め合う事で仲良く暮らす事もできる」
と言いましたが私はその後の蛙の事が気になって仕方がありません。
おばに尋ねました。
するとおばは、険しい顔付きで「蛙は死ぬ」と一言答えたのです。
「蛙は必ず死ぬ。 自分の身体がそんなになるようなもの飲み込んで
生きてはいられない」と言いました。
ショックでした。
「蛙は勝ったのにどうして?」という思いが強かったのです。
おばはそれには答えず、
「人間も動物も生き物全部が命を賭けるような戦いをしてはならない」
と低い声で誰に言うともなしにつぶやきました。
勝っても負けても命を落とす。
そういう事なんですねぇ。
勝っても自滅する。
そういう事なんですねぇ。
むやみな戦いはしてはいけないという事なのでしょう。
祖母もよく言いました。
「他人と戦ってはいけない。 タタカウのは自分の弱さと闘うだけでいい」と・・・・。
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